TOP Photo:(C)FISE © Hurricane / The Agency
オーストラリア・ゴールドコーストで開催されたBMXフリースタイル パークのワールドカップ。
最終日12月11日、最後のコンテンツとなったエリート男子決勝で、Japanライダー中村輪夢が3位を獲得。
5月のモンペリエでの優勝、11月アブダビ世界選手権での優勝、そして今大会と、今年参加したUCI大会の全てで表彰台に上がる、という素晴らしい結果を残してくれました。本当にすごい。お疲れさまでした!!
ドラマティックな名勝負となった男子エリート決勝
とても見応えのある一戦となった今回の男子決勝。
名だたる12名のライダー達がギリギリを攻め、ダブルバックフリップや1080が当たり前のように出てくるクレイジーなバトルの中、現在のUSAチャンピオンであるMarcus CHRISTOPHER が1本目のランで93.20ポイントを叩き出し、大きくリード。
解説のダニエルが「忙しくて大変」と言うくらい、フレアダウンサイドダブルテールウィップ(文字にするとすごいですね)など、これまで見たことのないようなトリックを猛烈な勢いで決めて行きました。
中村輪夢の1本目はとてもリラックスした表情でスタートしましたが、やりたかったトリックができなかったということで、20秒を過ぎたあたりで中断。
Marcusの高得点にプレッシャーを感じてか、ミスターパーフェクトの異名を持つLogan MARTINまでもが転倒するという大波乱の中、Marcus暫定1位のまま2本目へ。
そんな中、フランスのAnthony JEANJEANが95.30ポイントを叩き出し、ついにMarcusを抜いて暫定1位に。高難易度のトリックを次々に決め、最後はダブルフレアでしめるという、まさしく「On fire!」なライディングでした。
高回転トリックもすごかったけど、インディシートグラブもよかったです。
そして続く中村輪夢の2本目。スタート前は真剣な表情を見せていたものの、大きな歓声を受けて笑顔でロールイン。
絶対に失敗できない、でも攻めないと勝てない、そんな状況にも関わらず、脅威のメンタルとスキルで94.40ポイントを獲得。暫定2位となりました。
しかも「720タックノーハンドtoバースピン」の初披露付き。これだけのレベルに到達しつつ、毎回のようにニュートリックを出してくるのは、並大抵の努力でできることではありません。本当にリスペクトです。
それでいて、キャンキャンやトボガンなどのクラシックなトリックも随所に散りばめられているのが嬉しいところ。
そして最後は地元オーストラリアのLogan MARTINが、ベテランの意地を見せたパーフェクトなライディングで96.90ポイントを獲得し、暫定10位からの大逆転優勝。
オーストラリア初開催のワールドカップでの自国ライダーのドラマティックな勝利に、会場は歓喜の渦に包まれ、エキサイティングなバトルが幕を閉じました。
日本人としては、輪夢が優勝できなかったのは悔しいけれど、この状況下で勝利を掴んだLoganも本当にすごかった。心からおめでとうと言いたいです。
そんな清々しい気持ちにさせてくれた最高の最終戦となりました。
上位ライダーのライディングはFISEのYoutubeに公開されていますが、これはぜひ通して見ていただきたい1戦。WOWOWではまだ見られるので、気になった方はぜひ!ワダポリスさんとダニエルの実況解説も、とてもわかりやすく面白かったです!
中国女子の快進撃 女子エリート
女子エリートは、中国女子が優勝・準優勝を獲得するという、新時代の幕開けを予感させる結果となりました。
予選のレポートでも少し触れた中国女子の台頭。気になって調べてみたら、2位のZHOU Huiminと11位のZHENG Qianは、2019年FISE成都アマチュア女子に出場して、寧々ちゃんと戦っていました。(当時のリザルト ※年齢は現時点の年齢が出てます)
3年後に、こんなに世界を騒がせることになるとは…
ちなみにZHENG Qianは、1ラン目フロントフリップ、2ラン目は720を失敗して最下位となりましたが、相当なガッツの持ち主に見えました。4人それぞれ個性があり、見ていてとても面白かったです。
優勝したSUN Jiaqiは縦回転こそなかったものの、これまでHannaしかやらなかったようなダブルテールウィップや360テールウィップなどを完璧にメイク。しかもそれだけの高難度トリックをしてもゲシらないという、本当に素晴らしいライディングでした。
次々にトリックがメイクされて行き、本人も周りも勝利を確信しただろう2ラン目の後半、時折笑顔を見せながらライディングする様子を見ていたら、話したこともないライダーなのに、ここまで来るのに本当に頑張ってきたんだろうな…、と思わずグッときてしまいました。
ちなみに2019年時点では中国のコーチはRob Dardenでしたが、彼は現在アメリカのテクニカルコーチをしているという情報が入ってきています。
彼女たちをここまで育てたのはカナダ人ライダーのPatrick Aubichonだという感謝のコメントが、FISE公式Instagramの投稿に寄せられていました。
色々気になるお隣中国のBMX事情。もし何か情報をゲットできたら特集したいと思います。
今回は予選で大クラッシュしてしまい、画面越しでもわかるくらい辛そうにライディングをしていたHannaは、最終的に3位。本調子でこの中国女子と対峙した時にどうなるか。
今回表彰台に乗ることができなかったライダーたちもまだまだ進化を続けており、可能性の塊。
そして、決勝を棄権したCharlotte、今回不参加のコロンビアのLizとQueen、チリのMaca、今回は中継の解説で盛り上げてくれたオーストラリアのNatalya(かっこよかった!)、そしてみんな大好きドイツのLaraちゃんなど、多くの注目ライダーも来年には復活してくるでしょう。日進月歩の女子シーンの2023も、今から本当に楽しみです!
エリート決勝リザルト
()内は年齢
エリート男子
- MARTIN Logan (29) AUS 96.90
- JEANJEAN Anthony (24) FRA 95.30
- NAKAMURA Rimu (20) JPN 94.40
- CHRISTOPHER Marcus (19) USA 93.20
- DOWELL Justin (22) USA 92.20
- 6REILLY Kieran (21) GBR 88.80
- MATTHEWS Joshua (26) AUS 88.60
- TRYON Bryce (22) USA 87.80
- TOOHEY Jaie (31) AUS 80.80
- THIEM Jacob (22) USA 59.20
- FOX Brian (29) USA 41.40
- WALLWORK Jake (28) AUS 37.80
エリート女子
- SUN Jiaqi (18) CHN 92.20
- ZHOU Huimin (17) CHN 85.40
- ROBERTS Hannah (21) USA 81.00
- BENEGAS Perris (27) USA 80.74
- MüLLER Kim Lea (20) GER 78.60
- PEREZ Laury (19) FRA 74.80
- DUCARROZ Nikita (26) SUI 72.10
- WOLFE Chelsea (29) USA 55.80
- SUN Sibei (17) CHN 55.40
- MARINO Angie (32) USA 51.60
- ZHENG Qian (19) CHN 21.80
- WORTHINGTON Charlotte (26) GBR DNS
年間シリーズランキング
エリート男子
- MARTIN Logan 2,800pt
- JEANJEAN Anthony 2,720pt
- CHRISTOPHER Marcus 2,260pt
4. NAKAMURA Rimu 1,820pt
(2戦目のブリュッセルを欠場し、2戦しか出ていないのに4位)
全ランキングはこちら(12/12時点ではまだ反映されていませんでした)
※男子のランキングは12位までしかLIVE配信画面に表示されなかったため、他の日本人ライダーの順位はわかり次第追記します。
エリート女子
- ROBERTS Hannah 2,590pt
- DUCARROZ Nikita 2,210pt
- WORTHINGTON Charlotte 1,830pt
13. NAITO Nene 1,000pt
16. OIKE Minato 660pt
全ランキングはこちら(12/12時点ではまだ反映されていませんでした)