山形県の寒河江スケートパークにて9月末に開催された「SAGAE BMX JAM 2020」は今年も大盛りあがり!
どこから行くにも意外と遠い、立地的に恵まれているわけではない寒河江スケートパーク。それにもかかわらず、毎年この時期ここで開催されるイベントには、全国各地から多くのBMXライダーが集まります。その人気の秘密とイベント当日の様子を、仙台のBMX&MTBライダーKai(高橋開)くんがまとめてくれました。
読んだら今すぐ寒河江に行きたくなっちゃうイベントレポート。ぜひお楽しみください。
BMXカルチャーの楽しさが詰まった東北の一大イベント「SAGAE BMX JAM」
東北の、いや全国のBMXカルチャーを愛するライダーにとってのサンクチュアリのひとつ山形県の寒河江スケートパークで、毎年秋に開催されるSAGAE BMX JAM。
伝説的なイベント“OYA-Z JAM”から連綿と続く東北の一大イベントに、今年は仙台ローカルのわたくしKAIがライダーとしてではなく、運営スタッフ兼フォトグラファーとして参加し取材してきました。(怪我で泣く泣く乗れなかったとかそういうわけじゃn…)
決してアクセスが良いわけではない寒河江の地に毎年日本中からライダーが集結する、その魅力の一端をご紹介できればと思います。
聖地「SAGAE」
さて、まずは寒河江スケートパークを知らない方のためにサラッとおさらいしておきましょう。
寒河江スケートパークは山形県寒河江市にある国内最大級のパブリックスケートパーク。
今日ではコンクリート製の大規模なスケートパークが全国各地に続々オープンしていますが、寒河江スケートパークがオープンした15年ほど前は、全国的にも稀有な施設でした。
様々なRとバンクやレッジ、レールなどのストリートセクションが融合したメインパークエリア、その奥にある極上のボウルエリア、場外には無料開放のミニパークまで。管理人棟裏には屋根付きのミニランもあります。(ミニランはスケート向きのつくりでBMXには難しいので注意して乗りましょう。)
複雑な形状のコンクリート製のボウルやRの数々はBMXライダーなら垂涎もの。
利用料は1日540円とリーズナブルで、照明があり夜9:00まで楽しめるのも嬉しいポイント。カルチャーに配慮した開放的な運営姿勢も相まって、ローカルライダー達や寒河江の虜になった遠方のライダーにとっては聖地ともいえる場所となっています。
※利用時間や料金などは2020年10月5日現在のものです。お出かけ前に公式ページもご確認ください。 http://www.m-furusatopark.com/02_park_guide/
寒河江を語る上では外せない伝説「OYA-Z BMX JAM」
そんな寒河江スケートパークを舞台におこなわれた伝説的なイベントがOYA-Z BMX JAMでした。年齢がポイントに加算される(つまりオヤジであるほど有利)というユニークなルールのもとで実施されたこのJAMは、9年間という長きにわたって開催され、毎年様々な逸話を残しながら全国から100名を超えるライダーを動員する大きなイベントへと育っていきました。
2015年に惜しまれつつファイナルを迎えることになりましたが、現在でも当時の参加ライダー達の語り草になっています。
BMXを愛するすべての人にむけて。
そしてOYA-Z JAM亡き後、全国のライダー達の寒河江愛に応えるカタチで以降毎年開催されるようになったのが、長年OYA-Z JAMのオーガナイザーを努めた宮城県のBMXライダー873氏の主催するSAGAE BMX JAM。(ちなみにOYA-Z JAMの創始者は会津ライダーのまっさん)
OYA-Z JAMの「BMXを楽しむ」というDNAを色濃く受け継いでいます。
幅広い世代のライダーが参加するだけでなく、その家族や友人もテント泊や温泉、郷土食の蕎麦・芋煮などを通じて思い思いに楽しむことのできるユルく穏やかな雰囲気をもった、そして確かなカルチャー色も感じられるイベント。
家族や友人と共に豊かな自然の中で心地よい音楽に揺られながらビールを片手にBMX―
どうです?想像するだけで最高でしょう?
敢えてのマニアック -KIDS JAM
ジャムの当日の朝はキッズライダー達によるパークのごみ拾いからスタート。そんな中で彼らから「パークエリアを使ったジャムもやりたい!」との要望が。
SAGAE BMX JAMの内容は、その年によって様々。
今年は、後述する場外のミニパークでのJAMと、寒河江名物BOWL JAMが開催される他はフリーでまったり、なスケジュールで、メインパークエリアを使った企画が特にありませんでした。そこにキッズが物申す!となった訳ですね。
と言っても一筋縄では採用されないのもこのイベントの面白いところで、ヒップtoスパインtoスパインのみジャッジ対象のキッズ限定ジャムというマニアックな設定に。
これに対して最初は非難轟々だったキッズ達ですが、すぐに切り替えて仲間と相談しながら和気あいあいと練習を始める様子はなかなかどうして素敵な場面。
ジャッジがキッズの憧れ大霜優馬(ユーマ)くんだと分かると彼らの間に緊張が走って空気が引き締まるのも微笑ましい瞬間でした。
そうして開催されたキッズJAMは、名物MCコウタさんによる鼓舞によって大人顔負けのライディングもとびだす白熱したものに。(応援するお母さんたちも白熱)
それぞれが自分の出来る最高のパフォーマンスを繰り出そうとするさまを観戦できた、気持ちの良い時間となりました。
大熱狂のRide Again BMX JAM
新型コロナウィルスの感染拡大によって大会やイベントが中止され、感染拡大防止のために、遠征すらもはばかられる事態となってしまった2020年。これまでのように遠方のライダーとセッションできずに悶々としていたライダーも多かったはず。そんな中みんなでRide AgainできるようにとBMX代理店ZEN Distributionが企画したのがこのRide Again BMX JAM。
今回は広大なメインパーク内ではなく、あえて場外に設置されているミニパークでの開催。
タイトで低いRで繰り広げられた各ライダーのスタイル溢れるジャムセッションは会場を熱狂の渦に包みこみました。
そこに掛ける?そこ飛ぶ?そのラインまじかよ…という声があちこちから聞こえてくるほど予想の斜め上をいくライディングの連発。主催のZENクルーが映像を撮影していたので、そのうち公開されるかも?
寒河江名物BOWL JAM
寒河江に初めて訪れたライダーが口を揃えて言うのは「あのボウルは最高」という言葉。数々のライダー達を虜にしてきた寒河江名物のボウルセクションで開催されるのがBOWL JAM。トランスファーやポケットエアーなど想像次第で無限に広がるラインで、毎年多くの名場面を残してきました。
今年は「挙手によりギブアップの意思を示すまでは時間無制限で乗れる」というルールが追加され、たくさんのメイクの瞬間の歓喜に会場が沸くことに。
多くの名場面があった今年のジャムですが、個人的ハイライトをあげるとするなら神戸の織田さんのハンドプラントでのフェンスオーバー。カメラマンとしてはダメダメなんですが、呆気にとられて撮り漏らしてしまうほどインパクトのあるルーティンでした。
ジャムの最後はサブMCを務める仙台ローカルのチャラ沼さんとキッズ達がボウルを疾走して〆。
みんなの笑顔から純粋にBMXやジャムを楽しんでいることが伺える、このジャムの中でも特に印象的な場面だったと思います。
寒河江でまた会いましょう
コロナ禍にある中で二日間を通して80名を超える参加者のあった今回のイベント。閉会式の温かい雰囲気や参加したライダー達の笑顔がすべてをあらわしていると思います。BMXを思い思いに楽しむ最高の時間が流れていたのではないでしょうか。
同日岡山で開催されていた全日本選手権も、久々の公式戦でかなり盛り上がったとのこと。
競技・スポーツとしてのBMX、カルチャーや遊びとしてのBMX、この双方が良い影響を与え合いながら、自転車のように両輪で回っていけば日本のBMXシーンはより良いものとなっていくハズ。
この記事により、寒河江の魅力が少しでも皆さんに伝わったら幸いです。今回は来られなかったライダーにも、ぜひ一度は来てほしい!一度来たら病みつきですよ。
百聞は一見に如かず、来年のイベントで皆さんに会えることを楽しみにしています。