おめでとうRim! 中村輪夢がBMXブランドsubrosaのプロチームに昇格&ウェルカムエディットリリース!

RIM NAKAMURA – WELCOME TO THE SUBROSA PRO TEAM

日本が誇るトップライダー中村輪夢が、アメリカ・フロリダのBMXブランドSUBROSAのプロチームに昇格。昨夜ウェルカムエディットが公開されました。こだわりが詰まった素晴らしい映像。まだ見ていない方は要チェックです!

Filmed: Peter Keller / Daichi Teshigahara / Hideo Watanabe / Edited: Ryan Chadwick

SUBROSA PRO TEAM入りの凄さって?BMX初心者のためにちょっと解説

BMXライダーなら即「ヤバい!!」と興奮してしまうこの出来事ですが、「どういうこと?」と、ピンと来ない方もいるでしょう。BMX初心者や一般の方にもその凄さを伝えたいので、少し解説をしたいと思います。

例えばスキーをする人をスキーヤーと呼ぶように、BMXに乗っている人を総称して「BMXライダー / ライダー」と呼びますが、その中でもショップやブランド、メーカーがスポンサーについているBMXライダーのことを「○○ライダー ※○○はブランド名など」と表現します。スポンサーがついてその名を掲げるライダーになることは、多くのBMXライダーの憧れです。
例)「HANGOUTライダー」「ムラサキライダー」「RedBullライダー」「Jykkライダー」「SUBROSAライダー」など

SUBROSA(サブローザ / サブロサ)は、アメリカ・フロリダを本拠地とするBMXブランド。中村輪夢くんは元々、日本の輸入代理店Jykk JapanそしてSUBROSAがスポンサーの「Jykkライダー」「SUBROSAライダー」でしたが、今回、SUBROSAライダーの中でも最高峰のカテゴリである「SUBROSA PRO TEAM」に昇格した、ということになります。

最近はSNSの台頭により変わって来ていますが、これまで、ライダーが海外のBMXブランドにサポートされるまでの一般的な流れとしては、頑張って影響力のあるライダーになる→地元のBMXショップからサポートしてもらう(スポンサーになってもらって自転車やパーツなどの提供を受けること)→国内輸入代理店からサポートしてもらう→本国ライダーになる(ブランドに正式に認められる)、という長い道のりでした。
それぞれの段階でも、例えばFamily→Flowライダー→Proライダーなどと、同じサポートライダーでも細かなランク分けがある場合も多く、日本人が、BMXの本場アメリカのブランドのPROチームに入るというのは並大抵のことではありません。

BMXフリースタイルにおけるプロの定義は様々で、BMXだけで食べていればプロ、ワールドカップでエリートクラスに出ていればプロ、BMXショーやスクールなどで報酬をもらっていればプロ、ショップやメーカーなどひとつでもスポンサーがついていればプロ、など人によって様々な考え方があります。
これはとても深い話になりそうなのでまた別の機会に掘り下げたいと思いますが、とにもかくにも今回の「BMXブランドの本国PRO TEAM昇格」は、BMXライダーの夢とも言えるビッグな出来事です。

ちなみにSUBROSAの意味は「秘密裏に」「内密に」。ラテン語の“sub rosa”を直訳すると「薔薇の下」となるのですが、昔、天井の中央に薔薇の花を吊るしたり、薔薇を天井に描いたり彫ったりすることが、その場所で交わされた会話の内容は他言無用、という合図とされていたそうです。SUBROSAの製品によくデザインされている、逆さまの薔薇にそんな意味があったなんて、なんだかミステリアスでかっこいいですよね。
そしてその名の通り、秘密裏に進められていたウェルカムエディット(チーム入りの際に歓迎とお披露目のために作られる映像)が、ついに公開。

SUBROSAのWebサイト、Youtubeに以下の通り公式コメントが出ています。アメリカのBMXブランドからこんなに褒められるなんて、こちらまで嬉しくなってしまいますね!ざっくり日本語訳を付けたので、英語が苦手な方もぜひ!(概ね合ってるはずですが変なところがあったらごめんなさい。)

It’s no secret that Rim Nakamura is one of the best Park riders out right now, and he’s only getting better.
He’s supported Subrosa since he was 9 years old, so the time has come to move him up the ranks of Subrosa to the Pro Team! Check out his new video now!
中村輪夢が今現在最高のパークライダーの一人であることは周知の事実で、さらに、彼のライディングはますます良くなっています。
9歳のときからSUBROSAライダーであった彼を、プロチームにランクアップする時が来ました。彼の新しいビデオをチェックしてください!

Rim Nakamura has flown the Subrosa flag long before we even met him back in 2011. Rim was just 9 years old when Hoang, Kyle, Vince and myself went to Japan for a trip and we knew then that he was something special.
2011年に私達が出会うよりずっと前から、中村輪夢はSUBROSAの旗を掲げていました。Hoang, Kyle, Vinceそして私がJAPAN TRIPをした時、彼はわずが9歳でしたが、その時点で彼が特別な存在であることがわかりました。

Since then Rim has been riding constantly and simply getting better each day, and his smile is always ear to ear.
それから輪夢は常に乗り続け、日々上達しています。そして彼の笑顔はいつも最高です。

Now Rim is considered one of the best riders Japan has ever had, and he is their current champion.
今、輪夢は日本における過去最高のライダーの一人とされており、現在の日本チャンピオンです。

From X-Games to the Vans Pro Cup Rim cosistanly finishes towards the top of the pack, and his sites are set on the Olympics next.
XGAMESからVANS BMX PRO CUPまで、輪夢は一貫して上位でフィニッシュし、そして彼の次の目標はオリンピックに設定されています。

With the creation of his his signature Subrosa Flight Frame and Wings complete Rim and now the bump up to the Pro team, Rim is going to be unstoppable!
彼のシグネチャー SUBROSA FLIGHT FRAMEそして完成車WINGSの制作、そしてプロチームへの昇格により、輪夢は止められなくなります!

Congrats Rim!
おめでとう輪夢!

SUBROSA BRAND VIDEO WELCOME TO PRO RIM NAKAMURA!

フィッシュアイレンズでもはみ出しそうな、年々高くなっていく中村輪夢のエア

当メディア81BMXの編集長をしております私Naoki Gamanが中村輪夢くんに初めて会ったのは、2011年に東京で行われたBMXのお祭りとも言える人気の大会「ペルージャカップ」の第一回目に出場した時。その時既に「ものすごいキッズライダー」だった彼が、徐々に日本のトップライダーになって行くのを見てきました。
その後色々なきっかけでBMXの写真を撮るようになった私が、初めて海外で彼の写真を撮る機会に恵まれたのが、2017年秋のFISE成都(ワールドカップ)。

2017年10月 FISE成都セミファイナルでの中村輪夢 Photo:Naoki Gaman

この時は惜しくもセミファイナルでフィニッシュという結果でしたが、日本人でただひとり予選を通過し、それからの3年で起きる快進撃の予感を漂わせていました。

そして2018年はじめにエストニアで行われた、世界最高峰のライダーがしのぎを削る大会であるSimpleSessionの、プラクティスでの撮影中にふと思いました。「なんか、ここにいるライダーの中で一番高いような気がする…。」他ライダーが飛んでくる高さを目安に構図を決め、カメラを構えていると、はみ出しそうになるんです。
日本国内での輪夢くんの高さは既に誰もが認めるものでしたが、世界中のトップライダーが集まる大会SimpleSessionでのその気付きは衝撃でした。

2018年1月 SimpleSessionでの中村輪夢 Photo:Naoki Gaman

どれだけ高く飛んでいるかがわかるように、コーピングやジャンランを入れ、会場の雰囲気や観客がたくさん入るような横向きの写真を撮ることが多いのですが、輪夢くんは高すぎてそれがとても難しい…!この写真もギリギリです。(本当はコーピングを全部入れたかった)

その後2018年、2019年とその高さはどんどんグレードアップしていき、はみ出しそうな輪夢くんと毎回密かに戦っています。(時々はみ出ます…)

2018年8月 VANS BMX PRO CUP どんどん遠ざかる輪夢くん Photo:Naoki Gaman
2018年8月 VANS BMX PRO CUP 引きで見ると驚愕の高さ Photo:Naoki Gaman
2019年2月 2度目の挑戦となったSimpleSessionでは予選を2位で通過。FINALに進出したライダーだけが一堂に会するこのライダー紹介に日本人が立つのは史上初で、鳥肌モノでした。 Photo:Naoki Gaman
2019年4月 FISE広島で2位を獲得し、ついに初の世界戦表彰台に。みんな涙。 Photo:Naoki Gaman
2019年5月 FISEモンペリエではこれだけのオーディエンスの前でライディング Photo:Naoki Gaman
LIVE配信でこの時MCを努めた名物MCダリルが、驚きの高さに思わず放った「JAPAN AIR LINE!!!」というワードがしばらく流行語に。 #JAL Photo:Naoki Gaman
2019年6月 VANS BMX PRO CUP Stuttgart 天気の良さも相まって気持ちよさそう Photo:Naoki Gaman
2019年9月 VANS BMX PRO CUP Huntington Beach でのトランスファーダブルテールウィップ。すごすぎてもはやどこから飛んできてどこに行くのかよくわからない写真に。 Photo:Naoki Gaman

そして2019年10月、FISE成都でついに世界一に。

2019年10月 FISE成都で会場の度肝を抜いた、ライディング開始直後のハイエアー。撮ってる方もびっくり。 Photo:Naoki Gaman
2019年10月FISE成都で優勝を勝ち取るとともに2019年シリーズチャンピオンに。 Photo:Naoki Gaman
2019年11月 FISE翌週の世界選手権では表彰台こそ逃したものの、安定の高さで会場は大盛り上がり。普通に撮ったらはみ出るので寝そべって撮りました。それでもギリギリ。 Photo:Naoki Gaman

ライダーの夢を次々と叶えて行く日本のスーパースター

その後は地元京都でのプライベートパークのオープン、シグネチャーフレームであるFlightFrameそして完成車Wingsのリリース(彼の高さを表現したネーミングが粋ですよね!)、SimpleSessionでの優勝と、ライダーの夢を次々と叶えて行った輪夢くん。

2020年1月 プライベートパーク WingPark1stオープニングイベントにて Photo:Naoki Gaman
国内最大規模のプライベートパークで得意のバースピン。天井に届きそう。 Photo:Naoki Gaman
リリース前のシグネチャーフレームを手に、地元京都で記念撮影。 Photo:Naoki Gaman
自分の名前が入ったフレームがリリースされるなんて、こちらまで涙腺が緩みます。 Photo:Naoki Gaman
その2週間後2020年2月9日、自身の18歳の誕生日にSimpleSession優勝! Photo:Naoki Gaman

そして今回のSUBROSA PRO TEAM入りというビッグニュース!
輪夢くんが小さい頃からずっと見てきた日本のBMXライダー達にとってはもちろん、最近BMXを始めたor気になっているという方にとっても、本当にエキサイティングな出来事ですよね。
地元京都をベースに、日本人の可能性を広げ続けてくれている輪夢くん。日々の努力とポジティブマインドの結晶で、リスペクトしかありません。

日本のBMX界にたくさんの夢と笑顔をありがとう。そして本当におめでとう!
これからも中村輪夢から目が離せません!!